おもちゃ届け隊報告会から。


○報告者:藤井 将さん(NPO法人アジール舎会員)&同行スタッフ
○日 時:2011年6月5日(日) 午後4時〜5時
○場 所:ころぽっくるの家 2階「そら」


■おもちゃ届け隊
 〜2011.4.23〜25〜


2011年3月11日14時46分に発生した東日本大震災。マグニチュード9.0という観測史上最大の大地震は、
東北から関東まで沿岸部を大津波が襲い、数万人の方々が犠牲に、10数万人の被災者の方々が、
今も避難先で慣れない日々を送っています。
そして原発事故。私たちは「3.11」を境に、これまでの暮らし方を見直し、これからの生き方を根本から
考え直さなくてはならなくなりました。そんな時代に、何より大切になるのは「つながり」。近しい人とも、
遠くの人とも利害やエゴを越えて支えあい、助け合うことの意味を、一人ひとりが問い続けることが求めら
れる時代です。NPO法人アジール舍がそうした方々のつながりを紡いで集まったおもちゃは、予想を超えた量に。
その一つひとつに込められた思いは、福島県会津若松市に身を寄せる多くの子どもたちのもとへ届きました。

23日 夜
メンバー7名は小雨の降る中、被災地・福島県をめざしバンを発信させました!

24日 朝
福島県いわき市に前泊したメンバーは圏内でも津波被害の酷かった小名浜地区を訪問。港に打ち上げられた大型船、
沿岸部に広がるガレキの山、ヘドロの匂いにショックを隠せないまま一路会津若松市へ急ぎました。

24日 午後
NPO法人寺子屋方丈舎へご挨拶した後、市内2ヵ所の避難所を訪問。子どもたちにおもちゃを届け、
夕方まで遊びっぱなし!バスケットボール、ドッジボール・・・へとへとになりました。

25日 午前
残留したメンバー(男子2名)が再び避難所を訪問。少女に根っから毛嫌いされながらも、最後までがんばりました。
福島の子どもたちに思いを届けてきました。4月下旬の会津地方はまだ肌寒いとはいえ、
訪れた避難所(河東体育館、ふれあい体育館)の周辺では桜の花が春の訪れを告げていました。

今回多くの時間を割いたふれあい体育館は、もともと収容人数が200名ほどでしたが、震災後1ヶ月のタイミングで
仮設住宅や近隣の民宿等へ二次避難が始まっていたこともあり、在住は90名、未就学児は10名程度。
多くは福島第一原発事故を受けて着の身着のままで避難されている大熊町や南相馬市の方々でした。

居住棟は、部外者立ち入り禁止ですが、別にしつらえられた「キッズルーム」は登録したボランティアであれば
終日利用可能。全国から届けられたゲームや絵本、ぬいぐるみの中にアジール舍のおもちゃも仲間入りさせてい
ただきました。はじめこそ「開店休業中」な状態でしたが、そのうち好奇心旺盛な子どもたちが恐る恐る入ってきます。
名前や年齢、学校の友だちのこと、他愛ない会話をしながら持ち込んだおもちゃを通じて次第に打ち解けていきました。
乳幼児を抱えた若いお母さんたちは、浜通りから遠く会津まで来た顛末などをお話いただきました。

思い切りあそべないこと。遊び相手が少ないこと。そんな状況にあって、間違いなく「小さな子どもたちは
“遊びとおもちゃ”を求めて」(アジール舍代表・亀口さん)いました。

しかも何より“人と関わる”ことを求めていたように思います。被災者という立場に次第に自尊心が蝕まれつつ
ある大人(とくに男性)が多く見受けられることも気がかりですが、震災を期に地域コミュニティが少しずつ崩壊し、
それまで日常だった周囲とのつつながりが失われつつあることが、将来が見えない不安と相まって、
子どもにも大人にも暗く陰を落としているように思えてなりません。

NPO法人寺子屋方丈舍代表、江川さん曰く「行政の被災者支援はまとまりがないまま。これほど政治家の姿が
みえない災害はない」状態です。だからこそ地域の活動団体が機動力を発揮しながら、被災者の方々と同じ視点に
立ち続ける姿勢は何より支えになります。「つながる」こと。モノだけでなく生身の人間が関わり続けること。
「支援する、される」関係から,「支え合える」関係になること。それは3.11後の私たちの暮らしそのものを
考えることにも通じるのだと思いました。(藤井)


おもちゃリスト
男の子のおもちゃ  段ボール×1箱
女の子のおもちゃ  段ボール×8箱
本(絵本)     段ボール×1箱
赤ちゃんのおもちゃ 段ボール×3箱
ぬりえ・お絵かき  段ボール×2箱
パズル・レゴ    段ボール×2箱
ぬいぐるみ     段ボール×2箱


<藤井将さん プロフィール>
1970年鳥取県鳥取市生まれ。編集者。20代後半からアジアを中心に世界中を旅している。
訪問国数は30カ国あまり。子育て支援を行う任意団体「こども環境会議」(東京世田谷区)の運営
スタッフでもある。



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